「外は危険がいっぱいだ。姉さんを傷つけるものばかりある。だから僕が次期当主になって姉さんを全てのものから守ってあげるからね」
「…」
ふふ、と怪しく笑って朱が私の頬に触れる。
少し前までは人類最強の能力者に何を言ってるんだか、と思っていたが、今ではもうそうは思えない。
朱はちゃんと私が死ぬことを知っているからこんなことを言ってしまっているのだ。
「まずは葉月から出れないようにしようね。ちゃんとその為の部屋も用意してあるんだよ?姉さんと関わる人間も必要最低限にしよう。なるべく僕がお世話するからね?姉さんの全てを知っているのは僕だけだから」
「…」
あれ?
朱の瞳がどんどん仄暗いものになっていく。
最初こそ心配からの過保護だと思っていたが、どうもその過保護の様子がおかしい。
…病的すぎないだろうか。今の朱の発言を要約すると、「僕が次期当主になった暁には姉さんを監禁します。部屋も用意しています。世話は僕がします」と言っているようにしか聞こえないのだが。
「…あ、あのさ。朱が次期当主にもしなったらまさか私を葉月家に監禁する…ってことないよね?ないよねぇ?」
勘違いであってくれ、と祈るように朱を見れば、朱はその愛らしい笑みを深めた。
目が笑っていないままで。
「え?さっきからそう言ってるけど?その方が安全でしょ?」
「…」
勘違いではありませんでした。
仄暗く笑う朱に私は一瞬だけ目を大きく見開いた。
これは朱に負けない方がいいのでは?
いくら姫巫女から物理的な距離ができるとはいえ、監禁されてしまったら何もできないではないか。
ぶっ飛びすぎだぞ、朱!



