2度目の人生で世界を救おうとする話。後編





「待ってよ!そんは小さな映像で何がわかるって言うの!声だって入っていないし、ましてや紅ちゃんの視線が睨んでいるかどうかだってわからないじゃない!」



今ここで自分の嘘がバレるのはまずいと思ったのか、先ほどまで辛そうにしていた姫巫女が急に大きな声を出す。
その姿は全く辛そうには見えない。むしろ嘘がバレかけて焦っているように見える。



「…視線に悪意があるかないかくらいは判断できる画質だと思うのですが。それに読唇術というものがありましてそちらを使えば兄さんが事務的なことしか口にしていないことくらいはわかります」

「…っ、そ、そんなどうとでも…」



姫巫女に冷たい表情で反論する朱に姫巫女も何とか言い返そうとするが、上手く言葉が出ない様子だ。
朱の一手が強すぎたのだろう。



「それからこちらはとても興味深い映像なのですが、姫巫女様はよく自分の部屋で教科書をビリビリに破り始めるのです」

「え」



朱にそう言われて姫巫女が固まる。



「え、え。嘘だよね?私の部屋にもカメラあるの?」

「はい。アナタは全世界の妖から狙われる存在ですからね。防犯対策上当然じゃないですか」



どんどん顔色が悪くなっていく姫巫女に変わらず朱は冷たい。
私もまさか姫巫女の部屋にまでカメラがあるとは思わず、絶句していた。



「どういうわけか姫巫女様は一部の記憶を失っているんですかね?自分でやったことを兄さんの仕業にするなんて」



ずっと冷たい表情を浮かべていた朱が笑う。
だが、その笑顔はとても冷たく、この場を…いや、姫巫女の体温を奪っていくには十分なものだった。




「あ、あ、な、何かな、これ」

「もうわかったよ」



気まずそうに視線を泳がす姫巫女の横で麟太郎様が大きく息を吐く。



「…紅、君は無実だったんだね。先走って罪を被せようとしたことを謝罪させて欲しい」



1度目では絶対に見ることのなかった麟太郎様の謝罪に私は驚きで固まる。
まさかの展開に頭がついていかない。



「だけどどうか忘れないで。由衣に勘違いさせる紅にも非があるのだと。これからは気をつけて行動しなさい」

「…はい」



もう落ち着きを取り戻している麟太郎様に私は深々と頭を下げた。

能力者界追放失敗だ。