「俺も武と同じ意見です。紅はずっと真面目に姫巫女様をお守りしておりました。危害を加えるなどあり得ません」
武に続くように琥珀も真剣な表情で麟太郎様に訴える。
琥珀まで1度目と違う選択をしてくれるなんて。
「僕もそう思います。むしろ姫巫女様こそ紅に苦手意識を持って被害妄想をしているように見えますが」
そして何と蒼までも私を庇い、麟太郎様に訴えかけた。
姫巫女を責める言葉まで添えて。
まさかの麟太郎様以外全員味方である。
1度目とは全く違う展開に私は本当に心の底から嬉しくなった。2度目の最初こそ、絶対にもう誰も信じない、と思っていたが、やっぱり誰かを信じたくなったし、その相手が次期当主のみんななら最高だとどこかで思っていた。だからこの展開が私は本当に嬉しかった。
…だが、私はここから逃げたいのだ。
だからこそ罪を被りたいのだが、これでは数的に無理がある。
そう思っていたのだが、その私の不安はすぐに解消された。
「…じゃあ君たちは何かな?由衣が嘘をついていると言いたいのかな?」
麟太郎様が笑顔でこの場にいる全員に圧をかける。
その目は怒りで満ちており、表情と全く合っていない。
「由衣が辛かった。由衣が怖かった。これだけで十分だろう!?見ろ!由衣の顔を!こんなにも辛そうな由衣が何もされていない訳ないだろう!?」
ダァンッ!と目の前の机を叩いて興奮気味にその場から麟太郎様が立つ。
どう考えても様子のおかしい麟太郎様にその場にいる全員が黙った。
ただ1人姫巫女だけが「り、麟太郎様ぁ」とうるうると瞳を嬉しそうに潤ませていた。
いや、姫巫女、大丈夫か?
麟太郎様、明らかにおかしいのにそのリアクションでいいのか?



