「…追いかけられた?」
「そ、そうなの!そのせいで階段から落ちたんだよ!?全部、紅ちゃんのせいなんだよ!」
先ほどまで無視されていた蒼にやっと自分の声が届き、姫巫女は嬉しそうに蒼を見つめた。
だが、蒼との付き合いの長い私はわかってしまった。
静かに笑いながら蒼が怒っている、と。
「紅はアナタの護衛でした。アナタが逃げれば追いかけます。階段だって紅はアナタを身を挺して守ったでしょう?それを何ですか、全部紅のせいですか」
いつもならどんな場面でも笑っている蒼の笑顔が消えた。
無表情になった蒼に姫巫女の顔色がどんどん悪くなっていく。
「はっきり言いましょう。紅のせいではありません。全部アナタのせいなんですよ」
「…っ」
今にも泣きそうな姫巫女に蒼が静かにとどめを指す。
姫巫女はもう何も言えず、その場にただ項垂れていた。
私もいろいろ言ってやろうとも思ったが、お気に入りの蒼にフルボッコにされている姫巫女を見て、もう何も言う気にはならなかった。



