それだけ一生懸命助けてくれたのだろう。
「こ、怖かった…」
私の胸の中にまだいた姫巫女は小さくそう言って震えている。
…怖かった?怖かったのはこっちだ。
急にあることないこと言い出して勝手に足を滑らせて階段から落ちて。
もし私が一歩対応を間違えれば責められたのは私なのだ。
1度目の時も思ったが、2度目で確信してしまった。
この女は絶対にわざと落ちたのだ。私を犯人に仕立てる為に。
「紅、おいで」
姫巫女に腹を立てていると蒼が私を呼んで風の能力で自身の方へ引き寄せた。
姫巫女をその場に置き去りにして。
「え」
まさか姫巫女ではなく、私を選ぶとは思わなかったのか姫巫女が驚いたように蒼を見る。
「紅、よく見せて。姫巫女様と被っていたからよく見えなかったんだ」
まるで姫巫女が邪魔でした、と言いたげた蒼のセリフに姫巫女が絶句している。
そして私も1度目とはあまりにも違う蒼に違和感を覚えていた。
相手をよく見て相手の要望に応えることの得意な蒼が敢えて姫巫女を無視する理由は何?
「あ、蒼くん!」
我慢ならない、といった感じで姫巫女が蒼の名前を呼ぶ。
「わ、私、怖かったの!紅ちゃんに何故か追いかけられるし、階段から落ちちゃうしで…」
慰めてほしいとうるうるした目で訴える姫巫女に私はまた心の中で怒りを爆発させていた。
追いかけられているとはなんだ!
姫巫女の護衛だから追っただけだ!どうしても私を悪者にしたい物言いだな!



