「姫巫女様の歓迎会の時のだ」
ピンと来ていない様子の私に琥珀が言葉を続ける。
…姫巫女の歓迎会の時。
あ、思い出した。
『…俺は紅の味方だ』
『何があっても側にいる。だから辛くなったり、泣きたくなったら俺を頼るといい』
琥珀が言ってくれたあの時の言葉を私は思い出す。
1度目と全く違う琥珀からの言葉にすごく嬉しくなったことを今でもはっきりと覚えている。
あれはシナリオ通りの言葉で琥珀からの本心だった。
シナリオが歪みさえしなければきっと1度目の私も受け取れることのできた言葉だったのだろう。
「覚えているよ、嬉しかったから」
隣にいる琥珀に私はあの時と同じ気持ちで笑う。
「そうか。それならいい。これからも俺は変わらないから。それだけは忘れるな」
無表情だが、どこか優しい瞳で琥珀はそう言うといつものようにポンっと私の頭に手を乗せて優しく私の頭を撫でた。
1度目と同じ状況になってきているが、変わらずいてくれると言う琥珀の言葉は私にとってとても大きな心の支えになった。
それから私たちは授業が終わるまでいつものように他愛もない話をして穏やかな時間を共に過ごした。



