全てが終わったら姉さんを迎えに行こう。
そう思っていたのに。
あの人類最強と言われていた姉さんが項垂れている蒼さんの下で倒れている。
姉さんの心臓には短剣が刺されており、姉さんを中心に血の水溜りができていた。
「ね、姉さん?」
ふらふらとおぼつかない足取りで一歩一歩姉さんの元へ向かう。
きっと姉さんのことだから致命傷をうまく避けているはずだ。
もしかしたらこちらからは刺さっているように見えるだけで、短剣の先を炎で溶かしているのかもしれない。
溶けているものが刺さるはずなどない。
姉さんはただ疲れて寝ているだけなのだ。
「姉さん、姉さん」
どんどん姉さんへ近づいていく。
少しずつ明らかになる姉さんの状態。
開かれたままの瞳には光はなく、生命力を感じさせない。
「…蒼さん、退いてください!」
僕は姉さんの死を感じてしまい、姉さんの上に馬乗りになっていた蒼さんを突き飛ばした。
蒼さんはいとも簡単に僕に突き飛ばされ、姉さんの血溜まりに倒れ込んだ。
「姉さん!起きて!ねぇ!」
姉さんの体に触れ、起きてくれ、と願いながら揺さぶる。ずっとずっと触れたくて仕方なかった姉さんだが、こんな形で触れたかった訳ではない。
「終わったんだよ!何もかも!」
揺らしても揺らしても姉さんからの反応は返ってこない。開かれたままの瞼は瞬き一つさえしようとしない。
僕はやっと理解してしまった。
「嫌だ!やっと!やっと一緒になれると思ったのに!」
悲痛な声と共に僕の瞳から涙が溢れる。
それは止まることを知らず、どんどん溢れていく。
「何で、こんな…」
ガクリと僕は姉さんから手を離して肩を落とす。
もうどうすればいいのかわからない。
何の為に生きていけばいいのかわからない。
呼吸の仕方さえも忘れてしまいそうだ。
姉さんは僕の全てだったのに。



