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夏休みが始まった。
多くの生徒が帰省する中、私たち次期当主と姫巫女は寮に残っていた。
私が寮に残っているので朱も帰省していない。
「これは?」
寮内にある龍の部屋でかき氷機を準備していると龍が興味深そうにかき氷機を見つめてきた。
今日は護衛も休みで任務も珍しくないオフ日だ。
なので龍の部屋に来て龍にかき氷を振る舞うことにした。
このかき氷機はこの前ネットで買ったものだ。
「かき氷機だよ。最近暑いからこれで涼もうと思って」
「…俺が知っているやつじゃないんだが」
「これが最新のかき氷機なの。ふわっふわの氷ができるから龍感動すると思うよ?」
ネットで口コミをよく見て買ったかき氷機。
このかき氷機で作る氷はすごくふわふわになるらしい。
コンセントにかき氷機の線を挿して私は氷を入れるところにこのかき氷機のために作った氷をセットした。
あとは電源を入れるだけだ。
「…よし!」
期待に胸を膨らませてかき氷機のスイッチを押す。
するとゴリゴリと言いながらかき氷機が動き始めた。
「うわあ」
「…」
私は目を輝かせ、龍は私が見ているので一応一緒に見ているが無表情にかき氷ができていく様を見守る。
私が用意した器にふわふわの氷がどんどん乗せられていく。ふわふわすぎてまるで雪のような見た目だ。



