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僕は紅を殺した。
あれは夢ではない。実際に起きた現実だ。
紅をこの手で殺してしまったと後悔し、そして絶望した時には何故か時間が戻っていた。
高校3年生だった僕は気がつけば高校2年生になっており、何故かまた同じことが繰り返されていた。
僕が紅を殺した事実がなくなっていた。
紅が生きていた。
紅が僕たちの仲間のままだった。
そのことがどれほど僕を救ったか。
もう前のように紅を1人にはさせない。
あの時の僕は…いや、僕たちはみんなおかしかった。
何故、紅を悪だと決めつけ、罰したのだろう。
何故、紅の意見を最後まで聞かなかったのだろう。
同じことが繰り返されるというのなら今度こそ紅を守ってみせる。
僕と同じように前の記憶がある訳でないが、朧げに覚えている様子だった琥珀に僕は全てを話していた。
紅を守るには人手が多い方がいい。
「おーい。蒼?」
嫌なことを思い出していると痺れを切らした様子で紅が僕の瞳を覗き込んだ。
今の紅は前の紅とは違って1人ではないし、どこか明るい。
少しでも僕は紅を守れているかな。
「ごめん、紅」
僕はやっと紅から自身の手を離した。
「もう急に何?」
「…別に。ちょっと充電してただけ」
「充電…?え?充電?」
「ふふ、そう充電」
僕の言葉の意味がわからない様子の紅があまりにも可愛らしくて思わず笑みが溢れる。
今度こそ必ず僕は紅を守る。
そしてその愛らしい姿を僕は目に焼き付けるようにじっと見つめた。



