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大厄災と紅。
2人は今まで戦ったどの妖よりも強力で手強かった。
2人は強いだけではなく、連携まで完璧だ。
お互いに時には背中を預けながら上手く戦っている。
だが、勝ち筋が見えないわけでない。
4対2、こちらの方が数で優っている。
少しずつだが、2人の体力は消耗されており、こちらの攻撃も当たっている。
「2人が一緒だとどうしてもお互いに上手く補完し合う。2人を何としても孤立させてそこで叩こう。行くよ、武」
「おう」
僕の言葉に武が真剣な表情で頷く。
そして僕の風の能力によって通常の何倍もの速度で僕と武は移動を始めた。
朱と琥珀も反対方向へ移動を始める。
僕たちと琥珀たちはお互いに逆方向に移動をしながら攻撃を繰り広げ、何とか大厄災と紅の距離を離した。
この距離ならお互いにお互いを補完することはできないだろう。
「いけぇ!」
武が全力で氷を紅に飛ばす。
紅はそれを涼しい顔であしらっているように見えるが、実はそうではないはずだ。
あの顔は疲労が溜まっている顔だ。
必ず、攻撃し続ければ隙が生まれる。
一方武は紅と違ってまだ体力に余裕が見えた。
数的有利な故のアドバンテージだ。
僕は武が飛ばす氷や水を援護するように風の能力を使い続けた。
素早く動かしてみたり、予想外の動きをしてみたり。
そうしているうちについに紅に隙が生まれた。
それを僕は見逃さなかった。



