転生したら、シンデレラの姉だった件

 
 ー金髪男性が、呆れた顔で呟きます。

 …おや?

端から見ても分かる程、 ビクつかれておられますが…。

 まぁ、自業自得、かな…?

 私は微かに、肩を竦めました…









 ー約 15分前ー。

 美氷 お嬢様に、告白された時ー。

 …彼女は、可愛らしい声で…顔で。

 真っ赤になって、こう仰って下さったのです…

 『ーアレンさんは、私の…初恋の人、なんです…っ…!』

 ーと…。

 『っ!』

 29年越しに、美氷様と想いが通じたという、心から溢れるばかりの嬉しさ。

 ーそして、真っ赤になって恥じらう、愛しい彼女を前にした…溢れ出す愛…。

 様々な感情が、私の全身を駆け巡り…。

 ぎゅっ!

 このことは明日に…!

 そう言って、私の腕から逃げ出そうとした彼女を捕えるため。

 私は、自分の腕に力を込めました。

 ーそして…ハッキリと、美氷 お嬢様に、こう伝えたのです。

 『ー私も、同じですよ…!
 ー初恋の人は…
 そして私は、今でも…貴女を、愛しているんです。』

 ー今も昔も…恐らく、これから何十年間も…。

 私は、貴女だけを愛し、支えて…護り抜いてみせるでしょう…。

 『ーえ…ええっ!?』

 私の告白に驚く、そのお顔も。

 『…っ、アレンさんっ!!』

 愛しさのあまり、美氷 様の頬に口付けた時の、視線を左右に泳がす仕草も。

 『…美氷…何だか、眠くて…』

 ー眠たそうな目で私を見上げる、妖艶な上目遣い(うわめづかい)も。

 ー何もかもが、愛おしいのだから…。

 ーこれが、私ー
 …遥か昔の前世で、

「美氷 お嬢様
 …の、専属 執事
 爽斗」

 ーの、揺るぎ無い決意なのですから…。


 「…まぁ、この魔導師 リルも…。
 お嬢の侍従となった訳ですし!
 お二人の恋、時たま、御指導(ごしどう)致しますよ…!」

 初めて自分の名前を名乗った、金髪男性の言葉にー。

 「…り、リル…様!?
 何十年も前に行方不明となっていた、若き 天才 魔導師(まどうし)の…!!!?」

 ハッと我に返った私は
 ー愛しいお嬢様が起きられないよう、声量を落とすように注意しながらもー
 …思わず、驚きの声を上げました。


 「…ま、僕の話は、後程!
 ドアは開いておりますので、先に中へどうぞ!
 …お二人のために、ちょちょいのちょい!!
 と、僕が、報告して参りますからねー噂の、少し頑固な"あの方"に…!」

 後、「様」付けも、敬語も無しで、お願いしますよ…?

 ー子爵 閣下…?

 ー既に私の正体を知っていたらしい彼に、にこやかにそう言われ…

 「…何もかもを悟る、貴方にはー俺は、負けていられないな…」

 私は、自分の代わりに、

 "あの方"

 に報告をしてくれる、彼ーリル殿の後ろ姿を、見送りながら。

 ー思わず本音を呟きます。

 …ん…待てよ…?

 しかし…
 仮にも、"あの方"に向かって…。
ー彼のことを、

「少し頑固」

というのは、危険…

 実際に本人の前で言ったら…。

 「いくらリル殿でも、まずいと思うのですが…!?」

 ー颯爽と歩く彼の背中に向かい、私がそう言った時には…。

 ーヒュン!

 既に彼は、この新築

ー私ーいえ、俺にはー

 …どこからどう見ても、普通の家には見えない!!

 巨大で、立派な城にしか見えないんだが!!!?

 …ーから、

 "とある別荘"

 …に、向かってしまわれたのでした…。