転生したら、シンデレラの姉だった件


 ー4章ー
 ー中章ー
 『…もう二度と…俺から、離れないで下さい。』
 ~爽斗さんとの再会!?
 溢れる気持ち~


 

 「…お取り込み中、宜しいですか、姫?
 …新しい実家、建設が、完了致しました!」
 
 「…ほえっ!?」
 (…あ…新しい…実家あああぁーっ!!!?)
 ー私、そんなこと…
 そんなこと、このイケメンさんに…頼んだっけ…!?
 首をかしげながらも、彼の細くーけれど、頑丈なー右手で差し伸べられた、家を見て…。
 「…す、凄すぎるっ!!」
 「…亡き 旦那様の家の、何倍広いのよ!?」
 「…それにっ、レンガ製で、崩れにくそうだしっ!!」
 ー私、お母様、お姉様の順番で。
 三者三様に、驚きの声を上げた。

 その建物は…縦にも横にも、縦横無尽に広い。
 例えるなら、東京ドーム、5000個以上の広さ…!
 (…これは、流石に広すぎるっ!!
 ーそれに…っ…!)
 「…あ、あのっ!
 そろそろ、あなた様の、お名前を…!!」
 私が、イケメンさんに向かって、そう言い掛けた時…。

 「…ー漸く…漸く見付けましたよ。
 …美氷 お嬢様…。」

 「…えっ…!?」
 背後の大木から、物静かでいて、穏やかな。
 …時には突き放すけれど、後から優しく諭してくれるような…。
 ー懐かしい、、声がした。
 「…姫、この者はっ!?」
 慌てたように私を庇ってくれる、金髪のイケメンさん。
 彼は…大丈夫ですっ!!
 私は、イケメンさんに向かって、にっこりするとー。
 「…お願いがありますっ!!
 お母様と、お姉様を連れて…先に、実家へ戻って頂けますか?
 …あなた様が、作って下さった…」
 心配そうな顔で、私と…私にとっては、とても懐かしい声の主を交互に見やる、お母様と、ルリシアお姉様。
 ー私の、大切で、護りたい人達。
 …そんな彼女達にだからこそー"彼"との会話を、聞かれたくなかった。
「…はぁ、畏まりました、姫ーいや、本日からは、お嬢、って呼んでも良いですかね…?」
 「…は?」
 私に対して馴れ馴れしい彼の態度にー私ではなく、声の主は、何故か、不機嫌な声を出した。
 「…あ、あのっ…!
 良いですよ、お嬢って、呼んでいただいても…!」
 「お嬢」
 は、呼んでくれるのは、良いんだけれど…
 「…お嬢様…って呼ぶのは、止めていただきたいのです…
 今のところー1人にしか、そう呼ぶのを…そ、そのっ!
 …許可して、いませんから…!」
 私の言葉に、目を丸くしたイケメンさんは…
 「…なる程、そういうことか…!
 了解しました、お嬢!」
 私の言葉に頷くと、こちらも赤色のレンガ製で出来たドアに手を掛ける。
 キイイイインッ!!
 …その瞬間、お母様、お姉様の下に、魔方陣が作られ…。
 …ヒュンッ!
 「「…きゃあっ!?」」
 お母様とお姉様の姿がーあっという間に、家の中へと消える。
 …あれは、
 『転送 魔法』
 …!
 あのイケメンさん、使えるんだ…!
 今度、暇な時に、転送のやり方を、教えて貰わなくちゃ…!!
 「…じゃあ、僕も先に、入っていますね!」
 イケメンさんは、私に優雅な微笑みを向けて…。
 声の主さんの肩を、親しげに叩き…何かを、その耳元で呟いた。
 「…っ!
 ー初対面の貴方に…余計な、お世話ですがーそうします。」
 何を、言ったんだろう…? 
 ーイケメンさんの呟きが聞こえなくてー。
 私がじっと、家へと入っていく彼の姿を、見送っていると。
 「…はぁ…こちらへ来たと分かり、捜していましたが。
 見付けた途端に、男を手懐けてしまったとは…。
 一体、どういうことなんです?
 美 氷 お 嬢 さ・ま?」
 声の主ー多分、爽斗さんなのだろうけどーが、クルリ、と方向転換…!
 そしてー私を振り向かずに、そう尋ねてきた。
 その顔の表情は、一切見えない。
 ーけれど何故か、彼がイライラしているのが、私には分かって…。
 (…私、何かしたのかなっ!?)
 どうしようっ!!
 何か、彼に対して、酷いことでも…してしまった、とかっ!!!?
 「…勿論、説明致しますっ!!
 が!!
 その前に…あなたは…貴方は、爽斗さん…なのですか!?」
 
 ー私の返答に、その人はーゆっくりと、振り返った。
 そして…そこには、SR級の、超絶 イケメンが立っていて…。
 「…お嬢様。
 もう二度とーこの爽斗のー俺の側を、離れないで下さい。」
 …私は彼にー爽斗さんにー次の瞬間、優しい力で、抱き締められていた。
 …きゅん!!
 「俺」
 ー爽斗さんが、一人称で自分を呼ぶとき。
 それは、彼の言葉が、本心の印…。
 私の胸の奥が、不思議な音を立て始める。
 …どうしようっ!!
 こんな気持ちになるのは…前世…以来っ!!
 「…そ、爽斗さんも…っ…!
 …そのっ…」
 私から、離れないで、下さい…
 私も、消え入りそうなくらい小さな声になりーその大きな胸に、自分の小さな身体を埋めた。
 どうしよう、どうしようっ!!
 心臓の鼓動が、バクバクと高鳴っている。
 …きっと、爽斗さんは…大人だから、冷静なんだろうなぁ…。
 私がチラリ…と、爽斗さんを見ると…
 「…フッ、それではそろそろ…俺を苛立たせた、あの野郎について…
 ー話して頂きましょうか?」
 私を、至近距離で見つめて。
 爽斗さんは、そう聞いてくる。

 夜空の光で眩しく輝く、銀髪の髪…。
 切れ長の銀色の瞳は…怪しく、妖艶に瞬いて…。
 桜を想わせる、その唇が…とても綺麗で…。
 「…話して下さるんですよね?」
 思わず、ボウッと見とれていた私を…爽斗さんが、軽く睨んできた。
 「…もっ、勿論です!
 ええっと、彼はこの杖から、解放?されたらしくて…。」
 私は、自分の杖をとりだし、これは神様がくれたもなのです、と説明を始めた。
 次に、魔法を唱える度、黄金の竜の杖の模様が、だんだんと広がっていったこと。
 チャーミング国から、とある理由で脱出し、この森へと降り立った時ー。
 …彼が現れ、解放してくれて有り難うと、お礼を言われたことを…。

 ー全て話すのに、40分くらいかかってしまった…。

 「ー成る程、要するに…
 ーあの彼は、実力のある魔法士、なのかもしれませんね…」
 「…魔法士…
 まさか、8歳のこの身体で、そんな恐れ多い方と、お逢いできたなんて…!」
 魔法士。
 この職業は、あらゆる魔法を使いこなし、国を助ける人のお仕事のこと…。
 その仕事をする人を、チャーミング国でも、ここエメチャル大帝国でも、そう呼ぶらしい。
 
 ーまさかここで、レアな人と知り合いになれて…立派な家まで、作って貰えるなんて!
 ー私が、目をキラキラと、輝かせていると…。 

 「…お嬢様が、8歳何て…益々、お美しく、可愛らしくなられましたね?」
 えっ…!?
 ー爽斗さんが、私を抱き締めたまま…妙なことを言ってきた。
 「…えっ、私なんて…!
 そ、それに、まだ…8歳ですしぃ!!」
 …そうだよっ、私はー
「美氷」は
ー8歳の女の子に、なってしまったんだから!
 …爽斗さんが…こんな私に、ドキドキ…してるわけ、ないだろうし!
 …それは、仕方のないことだもの…
 「…そんなことはございません、本当に…綺麗だ。
 それと…私は、この世界では、
「アレン」
 …と、呼ばれております。
 …なのでーこれからは…」
 ーアレン、とお呼びください。
 …爽斗さんーううん、アレン…さんは…
 何故か、熱い眼差しで、私を見つめてきた。
 …近いっ、近いっ、顔が近いいいいぃーっ!!!!
 …これ以上、私の心臓を、爆発寸前まで、高鳴らせないでぇー!!
 …もう1人の自分が、必死に身をよじって抵抗している。
 (…今しか、言うチャンスは…ないかも…っ!)
 …けれど、それでも…私は、心の声を放って置いて。
 「…前世から、打ち明けようと思っていたんですけどっ!
 …アレンさんはー
 …私の…
 わ、私の…初恋の人…なんです。」
 恥じらいながらも、アレンさんの目を見て…震える声で、告白した。
 「…っ!」
 アレンさんは、私の告白に、目を見張っている。
 …嬉しくなんて、ない、よね…。
 だって、私のことを…そんな風には、見てくれてなんて…っ…!

 ーまずいっ!
 実年齢は8歳でも、精神年齢は、30歳だから…っ…!
 アレンさんの返事次第で…再び、ポーカーフェイスの私に、戻ってしまうかもしれない。
 「…へ、変なことを言って、ごめんなさいっ!
 その、話は、また明日っ!」
 その場にいるのが苦しくなり、私は目を伏せると…アレンさんの腕から、逃れようとした。

 ーけれどっ…!

 「…私も…同じですよ。
 …初恋の、相手は…。
 …そしてー今でも、私はー俺は、貴女を愛しているんです。」
 ー爽斗さんがーアレンさんが…真っ赤な顔で、そう言ってきたんだ…!
 …ええっ!?
 …ええええええぇーっ!!!?

 ー私は、アレンさんの告白に…目を見張ったまま、それから数分間、彼の腕の中に拘束されていたのだった…。