「でもさ、実際の戦闘で私情は挟まないように心がけてはいるけど、正直、自分の妹がタンクなんて見てられない。レオン兄さんもそうだろ?」

「そうだな。今が平和な世の中でよかった。騎士団の仕事は要人の警護以外だと、山賊の取り締まりとたまに出る大型の魔物の討伐ぐらいだからな」

 待って!
 一流のタンクになれば騎士団で重宝してもらえて身の安全も確保できると思っていたのに、その大前提が早くも崩れ落ちようとしている。

「じゃあ、わたしはどうすればいいの!?」

「自分の鑑定結果にこだわらずに訓練には参加すればいいじゃないか。どうしても素性を隠したいなら協力してやるけど、バレた場合の責任は自分で取れよ?」

「ありがとう、レオンお兄様!迷惑はかけないようにするから安心して」


 兄妹三人でわいわい盛り上がっている声が聞こえたのか、母が部屋に入って来た。
「楽しそうね」

 わたしは咄嗟に兄たちに、いま話していたことは母には内緒だと目配せした。