「あのね、のんびり教師を目指している状況じゃないの。もっと即結果につながらないとダメなのよ。それにね…」
 ここで声を潜めて、ちょいちょいと兄たちを手招きし、顔を近づけてもらう。

「ここだけの話、わたしの鑑定は星3のタンクなの」

 二人の兄はたっぷり5秒間ほど固まったのちに、のけぞりながら同時に叫んだ。

「「星3だとおぉぉぉ!?」」

 ビルハイム伯爵家の本宅に、二人の騎士の叫び声が響き渡った。


 学院内の平民出身の特待生はほとんどが「星3」のため、学院にいると珍しいことではないと思いがちだが、星3は極めて稀なのだ。

 レオンは剣豪の「星1」だけで、騎士団では一目置かれていて、将来の騎士団長候補のひとりらしい。

「なんだよ、兄さんが星1ってだけでもコンプレックスだったのに、妹が星3?俺、どうすりゃいいの」
 スタンが口を尖らせて拗ね始めた。

 別にどうもしなくていい。
 鑑定結果のほとんどが星無しなのだから。

 だからこそ、星3のタンクは重宝されるはず!

 このときわたしは、そう思っていた。