「32番、こちらへ」
 ようやく自分の順番が回って来たときに、呼ばれた番号と持っている木札に書かれた番号が一致することを再度確認して、緊張しながら部屋の中へと入った。

 目の前の机にこちらを向いて座っているらしい鑑定士の顔はわからない。
 机の向こう半分が黒い布で仕切られているためだ。

 鑑定士が恨まれたり、後にあれこれ問い詰められることを避けるため、そしてこちらの顔や名前から忖度されることがないようにという配慮らしい。

 過去にこの人は「鑑定士」という結果をもらったんだろうか…そんなことを考えながらイスに腰を下ろした。

 事前に説明を受けた通りの手順で、無言のまま仕切り布の向こうに手のひらを上にして両手を差し出す。
 もしも仕切り布をめくろうとしたり、鑑定士に何か話しかけようとすればその時点で一発アウトの「不合格」になると聞いているため、決して口を開かないように心がけて、なぜか目までつむった。

 向こう側から「ほうっ」という感心したようなため息が聞こえた。

「星3の盾役(タンク)です」

 結果を聞いて、わたしは飛び上がりたくなるのをこらえながら部屋を後にした。

 通常「星いくつ」と言われない場合は「星無し」で、星は増えるほどその職業を極めるレベルが高いことを表している。
 上限は星3つ。

 つまりわたしは、超一流のタンクになれる適性があるという結果が出たということだ。

 ちなみに長兄は「星1の剣豪」、次兄は「弓使い」という結果だったと聞いている。
 これに超一流タンクが加われば、最強の布陣なのではないだろうか!?
 脳筋集団・ビルハイム伯爵家にとってはなんとも名誉なことだ。