「大丈夫か?」
「大丈夫!!」
「なら、帰るか!家まで送ってく__」


切ない。この後の事を考えたら、胸をギューッと押しつぶされているかのよえに辛い時間。


「うん……」


ホテルから出て、車に乗り込むと聖光の姿を目に焼き付けた。


綺麗な顔に骨ばった手の甲で、スーツが良く似合う。私の大好きな男。

離れたくないけど、そんな我儘は許されない。



大丈夫__
私のお腹に小さな命が宿るまで__


あっという間にアパートの前に付き、聖光との別れを告げた。


妊娠に良いサプリメントにお茶を買い占め、聖光との赤ちゃんが出来るのを待ち侘びる。
もし、流産でもしたら耐えられないから、仕事を辞めて実家に戻った。


あとは、私のお腹に小さな命が宿るだけ。


子供が出来たら出来るだけ安らかな時間を過ごしたい。そう思うのに、夜になると胸がキリキリと傷んだ。


大好きな聖光は今頃何をしている?


家族で楽しく過ごしている?
奥さんを抱いている?


そう考えた瞬間、頭がパニックを起こして堪らない。


私は、薄暗い部屋で一人ぼっちなのに、奥さんは聖光の愛を独り占めしている。


でも、大丈夫。