【一悟side】


「ね、一悟くん……」

「え、ちょっ、羽入さん!?」


 羽入さんが俺のベッドに座っている。


 もっと正確に言えば、ベッドに座る俺の膝の上に。


 彼女は制服のボタンをいつも以上に開けており、胸元が(あらわ)になってしまっている。


 紅潮して緩く笑う羽入さんは俺の頬にそっと手を添えて、口を開いた。


「キスよりすごいこと……しよ?」



「なっ――!?」



 気付けば、俺はベッドの上で仰向けになっていた。


 そばに羽入さんの姿は、ない。


「~~っっ!」


 のたうち回りそうなのを枕にぶつけて、声にならない声を出す。


 さ、最低だ、俺!


 羽入さんでこんな夢を見るなんて!


 それもこれも、半分くらい現実で起こったことだからだ。


 だって、やばい。


 数日経った今でも鮮明に思い出せる。羽入さんの表情、声、温もり……。


「かわいかったよなぁ……」


 彼女がなんでも受け入れてくれるから、ついつい調子に乗ってしまったところはある。


 でもあれだけくっついて、キスして、一度も嫌がられなかったっていうのは、嬉しい。


 ……また、したい。


 うう、俺、そんなことばっかり考えてる。だから欲望が夢に出ちゃったんだ。


『一悟くんのしたいこと、わたしもちゃんとしたいからね?』


 それって、いったいどこまで本気にしていいんだろう。