一悟くんのことを、好きになりたい。


 ううん、もう好きではあるんだけど……恋愛感情には届いてない気がするし、一悟くんからの想いと比べたらまだまだ足りない。


 どうしたらいいのかなぁ。


 ぼぅっと考えながら一悟くんを盗み見ると、


「あ」


 と声を出した一悟くんと目が合った。


 それだけで胸がぽかぽかする。


「ふふ、一悟くん……顔真っ赤」

「そ、そりゃ、好きな子とこんなに近かったらね……」

「……そうだよねぇ」


 どう見ても、恋してる顔って感じだもんね。


 わたしはまだ恋も知らなくて、どういう気持ちがそう言うのかもわからない。


 だからわかりやすく伝えてくれる一悟くんはありがたいし、羨ましいなとも思う。


「……えっ、は、羽入さん……!?」


 わたしは繋がった手を解いて一悟くんの腕を胸元に引き寄せた。


 これが、わたしの今できる精いっぱい。


 もうすぐ追いついてみせるから。


 それまでに愛想尽かされないように、わたしも努力しなくちゃ。