ん? なんだろ、ジト目で睨まれている。


「ずっと思ってたんだけど……めるは彼氏作らないの?」


 恋バナをする顔だったみたい。


 わたしはとっておきにしてあった卵焼きを口に入れてゆっくり味わった。


 そして飲み込んで「うん」と返事する。


「めちゃくちゃ必要ってわけじゃないからね~」

「告白とかされてるでしょ? そいつらは?」

「良い感じの人がいなくて」

「いや、それこそ具体的にどんな人なのよ」


 そう言われても、感覚でしかないので言葉にできない。


 あ、でも、やっぱり良い人だったら嬉しいよね。


 例えば、周くんみたいな?


 そう考えて目線を彼に向けてみると、なんと向こうもたまたまこっちを見ていた。


 目が合ったので、とりあえず笑いかけてみる。


 周くんは恥ずかしそうにぺこっと会釈をして、有明くんとの会話に戻っていった。


「う~ん……癒やし系とかも、良いかも」

「あ~、犬系ってやつ? める犬好きだしね」

「そうそう~」


 犬の動画とか、永遠に見ちゃうよね。それで一日終わったこともあったなぁ。


 今はペット不可のマンションだから犬は飼えないけど、いつか飼って……ついでに隣に犬系彼氏がいたら……。


 どっちもモフれて、最高かも。