パッと画面に映る一悟くんの横顔。少し耳から離しているのか、顔全体をバッチリ見ることができた。


 予想通り、頬が赤い。画面越しなのが惜しまれる。


 一悟くんはビデオになったのに気付いてない。


「ふふっ……」


 堪えきれずに、小さく笑う。


 声に反応して一悟くんが画面に目を向けた。


『わぁ!? は、はにゅうさ、いつから見てたの!?』

「今だよ~」

『だっ、ちょっ……言ってよ!』


 毛布を被って顔を隠してしまった。でもすぐに、顔の上半分だけ覗かせてくれる。


『…………部屋着、だね』

「うん、モコモコで気持ちいいんだよ~」

『……可愛い』

「そう? ありがと~」


 一悟くんの服は、毛布のせいで見えなかった。


 向こうは全然見せてくれないのに、わたしのことは穴が開きそうなくらいに凝視してくる。


 そんなに見られると、さすがのわたしもくすぐったくなるかなぁ……。


 一悟くんのマネをするように、わたしも毛布を肩まで引き上げた。


『あっ……』

「一悟くん、見過ぎだねぇ?」

『ごっ、ごめん!』


 慌てて目を瞑る一悟くん。


 体が温まってきた上に毛布を被ったことで、わたしの意識がまどろんでくる。


「一悟くん……デート、どこに行こっか……?」


 うとうとしながら言葉を紡ぐ。


 一悟くんは目を開けない。


 わたしも閉じた。深海に落ちていくように力が抜け、体が沈んでいく。


『えっと、……っ!? は、羽入さん!? ……寝てる!? 起きて! 羽入さんからじゃないと、俺、切れないよ……!』