一悟くんも最初は驚き声をあげたものの、すぐに大人しくなって身を委ねてくれた。


「羽入さん、俺の頭撫でるの好きなの……?」

「うん、大好きっ」

「だ……っ、そ、そっか。なら、いくらでも撫でて大丈夫だから……」

「え~ほんと!?」


 やった~、本人から直々に許可もらっちゃった。


 お言葉に甘えて、片手から両手に腕を増やす。


「あの、その代わり……」


 照れて目を合わせてくれない一悟くんからの発言。


「俺以外の人には……しないで」


 わたしはきょとんと目を丸くした。


 だって、一悟くん以外を撫でたいと思ったことがなかったから。


 だからあんまりピンと来なくて、どう受け答えしたものかと迷ってしまう。


 まぁすることはないだろうし……ここは素直に了承しておいた方がいいかな。


「わかった。彼氏の一悟くん専用だね?」

「かっ、かれ……そ、そういうことですっ……」


 恥じらう一悟くんを見てると、もっと撫でたくなっちゃう。


 庇護欲っていうのかなぁ、こういうのって。


 守ってあげたくて、甘やかしてあげたくて……こういう感情って、なんて表現すればいいんだろう。


「……お熱いこと極まりないとこ水を差すけど、とんでもなく見られてるよ」


 心が温まってきたところで、木葉ちゃんの冷え切った声が突き刺してくる。