「改めて、よろしくね~。彼氏として」


 頭を撫で終わって、周くんに手を差し出す。


 驚愕した周くんが口をパクパク開閉しているのに微笑みかけた。


 こうやって顔が赤いのも、わたしが好きだからってことかぁ。え~にやける。


「お、お願いします!」


 両手でしっかりと握手をしてくれる周くん。手は可愛くなくて、ゴツゴツと角張っている。


 なんだかんだわたしって、付き合ったことないんだよねぇ。


 だからあんまりよくわかってないんだけど……周くんだったら大丈夫そうかなぁ。


「俺っ、羽入さんのこと、大好きで……っ!」

「ふふ、ありがと~」

「かっ、覚悟しておいてくださいね!」

「……えっ?」


 付き合うのって、そんなに覚悟がいることだったの?


 わたし、もっとよく考えた方がよかったのかな。


 さすがに一度決めたことだから撤回はしないけど。


「まだまだ全然、伝わり切ってない気がするので!」


 熱のこもった瞳を向けられて、体が浮いたみたいにふわふわした。


 こんな目を向けられたのも……初めてだなぁ。


 必死に汗をかいて頑張ってくれる周くんに、わたしもついていかなきゃなと思って。


「……うん、全部伝えてほしいな」


 わたしは、彼の火照った熱をしっかりと受け取った。