【一悟side】



 ――――やっちゃった、俺。



 ベッドでぐったりと縮こまる羽入さんを見て、ようやく血の気が引いていく。


「はぁっ、はぁーっ」


 肩を上下させて、枕に顔を押し付けている羽入さんの乱れた髪が、花開くようにベッドを広がっている。


 乱れてるのは髪だけじゃないから、いろんなものがチラチラ見えてしまって。


 手が伸びそうになっては、引っ込める。


 あの、これは試されてるんですかね?


 シャワーでも……いろいろ頑張ったつもりだったのに、伝わってなかったし。


 初めてがお風呂場は上級者すぎるかなと思って、最後までは我慢したのに。


「はぁ、ふぅ……一悟くん~……」


 落ち着いてきた羽入さんがごろんと仰向けになって、俺に手を伸ばしてくる。


 掴んで、起こしてほしいってことだろう。


「ふ、んっ、と……ありがと~」


 ぐちゃぐちゃになった姿で緩く笑う。


 これもめちゃくちゃそそられること、本人は気付いていない。


 でも、たまにちゃんとわかっててやってるときもあるから余計困るんだよなぁ……。


「ごめん、髪……」


 そっと触れて手櫛で整える。


「ん~……ふふ、もっと触って~」

「っ、」


 こ、これはわかっててやってる。


 ほんと魔性というかなんというか……。