我ながらムードをぶち壊すことを言ったなぁと思う。


 それでも大事な確認作業だったから口に出せば、周くんは目を瞑ったままコクコクと頷く。


 お~そうだったんだ。周くんって、わたしのこと好きだったんだなぁ。


 人気のない場所に移動したのも、納得がいく。


 え~なんか可愛い~。こんなに一生懸命に言われたの、初めてかも。


 わたしは赤いまま下を向いている周くんの頭に目を向けた。


 ふわふわの茶髪。少しクセがあって、トイプードルみたい。


 吸い寄せられるように背伸びして、気付けばわたしはその頭を撫でていた。


「……っ!? は、羽入さんっ!?」


 触り心地は最高だった。見た目通りのふわふわ感触。


 なるほど、彼氏になったらこれが触り放題か~……。


「うん。いいよ~」

「…………へっ?」

「付き合おっか、わたし達」


 なでなでを継続ながらの返事。


 結構沈黙があったような気もするけど、毛並みを堪能していたら時間は一瞬だった。


「え、えええええ!? い、いいの!?」

「うん、周くんなんか良い人そうだし」

「そんな理由でいいの!?」


 まぁ、こういうのってやっぱり感覚だと思うし。


 感覚的にいいかなって感じたから、いいよって答えた。


 それだけだよね。