一悟くんに幻滅されちゃったら、わたし立ち直れる自信なかったよ。


 ……一悟くんは、どんな気持ちなのかな。


 話しかけたくてウズウズしていると、木葉ちゃんが「早く行ってきて」と呆れた様子で言ってくれる。


 それじゃあ、お言葉に甘えちゃお~っと。


 後ろで手を組み、ちょっとずつ一悟くんへ歩み寄った。


「一悟くんはテストどうでしたか~?」

「な、なんとかなったかな」

「わたしも~! んふふ、へへ……」


 一悟くんを前にすると、もう咳払いでごまかすことすらできない。


 引かれてるかなぁ、と表情を確認してみたら。


 一悟くんはちょっと恥ずかしそうに、わたしから目線をそらしていた。


 あ、そっか。わたしがこうなってる理由を理解できてるから、恥ずかしさの方が勝っちゃうんだ。


「……ご機嫌ですね」

「ふふ、さてなんででしょうかねぇ~?」

「っ……さ、さぁ、なんででしょうか……」


 なるほど、とぼけるわけだねぇ?


 ならわたしもそうしてみようかな?


「なんだかとっても嬉しいことが確約されてた気がするんだけど、なんだったかなぁ~?」

「……そのまま忘れててください」

「忘れててもいいけど、約束は約束だよ?」


 一悟くんなら守ってくれるよね? という思いを込めて笑いかける。


 じわじわと耳まで真っ赤になっていく一悟くん。


 そういうの、わたしを喜ばせてるだけなんだけどなぁ。