返ってきたテストは、どれもこれも満足の行く出来だった。


 じゃ~ん! と木葉ちゃんにテストの結果を見せびらかすと、彼女は小さく笑ってくれる。


「へー、頑張ったじゃん」

「でしょ~! 楽しく一悟くんと夏休み過ごしたかったから……へへ」


 あ、また止められない笑いが。


 テスト中にも何度かやっちゃって、先生に怒られないように必死だったよ。


 なんとかすぐに咳払いに変換してごまかしてたけどね。


「んふ……くふんくふん」


 とまぁこのように。


「ねぇそれなんなの? テスト中にも何回かやってたけど、めちゃくちゃ怪しかったよ」


 あれ~? 逆に目立っちゃってたか~。


 やっぱり先生がわたしの横を通りすぎる回数が多かったのは、気のせいじゃなかったみたい。


 でもね、しょうがないと思う。


 テストの呪縛から解放されたこの瞬間から、わたしは一悟くんを自由にしていい権利が与えられたのだから。


 いくらでも、していいんだもんねぇ~……♡


「くふっ……くふふ」

「え、なに、キモいって」

「くふんくふんっ」

「無理あるでしょ」


 そっか、気持ち悪いかぁ。


 そうだよねぇ、わたしもそう思う。


 え、ということは、一悟くんもそう思ったかな……!?


 バッと一悟くんの方を見ると、目が合った。


 笑いかけると、同じように笑ってくれる。


 手を振ると、振り返してくれる。


 よ、よかったぁ~……!