中学二年の春。

 景から、右脚を怪我して今までのようにサッカーができなくなることを聞いた。

 試合中に起きた対戦相手の選手の反則プレーが原因だった。


 小さい頃は家や公園で、小学校ではクラブ、中学では部活。
 サッカーが自分の一部だと思っていた景にとって、最悪の結果だった。


 部活を退部した景は、見るからに元気がなくなっていって……学校では近寄り難い空気で一人でいることが増えていった。


 まるで感情に蓋をしたように、景は怪我の原因を作った相手選手を怒ることも、泣くこともなく。

 ただ、ぼうっと過ごしていることが多くなった。

 その様子が、まるでどこかに消えてしまいそうで、私はたまらなく怖かった。