翌日、火曜日。

私は朝からため息をつく。


作文、どうしよう……。

焦りと重圧で押しつぶされそうな私のもとへやってきたのは莉緒ちゃんだった。



「乃亜、ため息ついて……。作文のこと?」

「うん。実は全然書けてなくて」

「無難に中学生活の思い出、とか?」

「私もそう考えたんだけど……。中学生活の思い出って難しくて」



独りぼっちの思い出。

春佳くんに恋した思い出。

莉緒ちゃんと友達になった思い出。

あと、強いて言うなら、春佳くんに振られて落ち込んでいた私の背中を押してくれた眞尋くんとの思い出。



「……と、そんな感じです」

「そっかぁ。たしかにピンとくるエピソードはないかも」

「うぅ……」



私が頭を抱えていると、後ろからぽんっと肩をたたかれた。

振り返ると笑顔の春佳くんと眠そうな眞尋くんの姿があった。