他の誰かのあなた





「晴美、おめでとう!」

「おめでとう!」



とても良い結婚式だった。
少し不便なところだったけど、明るくて新しい教会で、なんだか気持ちが和む式だった。
純白のドレスを纏った晴美は、誇らしげで綺麗だった。
気になっていた旦那さんは、やっぱりイケメンだった。
愛想が良いのは良いけど、どこか、軽い感じがするのが少し気になった。
それに、多分、思い過ごしだろうけど、なんだかやたらと目が合った気がした。



結婚式の後、駅の近くの小洒落たレストランで会食があった。
もちろん、私はそこにも出席した。



「晴美、素敵な旦那さんじゃない。」

「カッコイイ旦那さんね。」



旦那さんのことをほめられて、晴美はとても嬉しそうだ。
その時、私は自分の心の中で、何かがざわめくのを感じた。



「あ、由希、来てくれてありがとう!」

「晴美、結婚おめでとう!」

晴美の隣には、旦那がいる。
意外と背も高いし、近くで見ると、まつ毛がとても長い。



「雅人、こちらは大学時代の親友の由希。」

「初めまして、由希さん。」

雅人は片手を差し出した。
私も同じように片手を差し出す。
彼は微笑みながら、暖かくて力強い手で握りしめた。



(欲しい…!この人が…)



心の中で、悪い私が囁いた。