他の誰かのあなた

「子供が産まれたら、両親、喜ぶだろうな。」

「そうね、皆、きっと喜んでくれるわ。」

「僕、ちゃんと父親役をやるからね。」

その言葉に、なんとも言えない違和感を感じた。
子供にも、愛情は持てないということだろうか?



「雅人君には言わない方が良いね。」

「え?」

まさか、この人…子供の父親は雅人だと思ってる?
そんなことはない。
私達、気を付けていたもの。



「この子は…」

「雅人君の子だよ。」

「そんなことないわ。
この子はあなたの子供よ。」

柴田はくすくすと笑い始めた。
私は真面目に言ってるのに、なぜ…



「僕ね、子供が3人いるんだよ。
もう子供はいらない。
だから、結婚前にパイプカットしたんだ。」

「パイプ…カット?」

「後でググってみてよ。
とにかく、僕はもう子供は作れない。
だから、その子は雅人君の子供だよ。」

打ちのめされたような気分だった。
柴田は、こんな重要なことを笑って話す。
この人のことが、どこか怖くなった。
怖いのに、なぜか笑いが込み上げる。
おかしくておかしくてたまらなくて、私は傷が痛むのも構わずに笑い続けた。