他の誰かのあなた

「あ、あの…ゆ、許してくれるの?」

「許す…?」

「あぁ、確かに今回のことは困ったよ。
会社の者にも知られたからね。
なんとか、頭のおかしい女の通り魔的犯行だと言って誤魔化したけど、こういうことは二度としちゃだめだよ。」

「……え?」

今の話しぶりだと、不倫はたいしたことないけど、スキャンダラスなことがいけないみたいに聞こえる。
おかしいよね。
夫なら、まずは不倫を咎める筈なのに。



「とにかく、今は体を治すことだけ考えないとね。
子供も産まれてくるんだし。」

「このままで良いの?
私は不倫をしてたのよ。」

私がそう言うと、柴田はおかしそうに肩を揺らした。



「さっきも言ったじゃない。
うまくやってくれたら良いんだよ。」

「どうして?私はあなたの妻なのよ。
妻が他の男と不倫して、なんともないなんて、そんな馬鹿な…」

「妻か…確かにそうだ。
君が僕の妻だ。
でも……僕の愛する人達は別にいる。」



(僕の愛する人達は別にいる…?)



私は柴田の言葉を反復した。
その意味が分からず、私は混乱した。