他の誰かのあなた

「は、はぁっ!」

怪物のような何かに追われていた。
目が覚めたら、心臓がドキドキしてて…



「良かった!気が付いたんだね。」

「え?」

私の目に映ったのは、微笑む柴田と、見慣れない部屋の様子だった。
私の体には、点滴や細い管が繋がれていた。



「今、先生を呼ぶからね。」



(先生……?)



その言葉と部屋の様子から、ここは病室だと確信した。
でも、何故?
そう思った時、お腹に痛みが走った。



(あぁ……そうか……)



私はぼんやりと思い出した。
そうだ、あの時、私は晴美に…



だんだん、頭がはっきりして来る。
そのうちに、医師と看護師が部屋に入って来て、聴診器をあてたり、血圧を測ったりしていた。



「柴田さん、わかりますか?」

「はい。」

「ご気分はいかがですか?痛みはありますか?」

私は訊ねられたことに、ぽつりぽつりと答えた。



私は、晴美に刺され…そして、助かった。
雅人はどうしただろう?
もちろん、柴田ももう事情は聞いただろう。
私はやはり離婚されてしまうんだろうか?
不意に心細い想いにかられた。