他の誰かのあなた

「何かおかしいって思ったのはその時よ。
でも、まさか、あんたが相手だなんて、考えもしなかった!
一体、いつからなの?
あんた、最近も私に電話して来たりしてたよね。
この前なんて、お茶したよね?
私のこと、笑ってたの!?」

「そんなことないわ。
そもそも、私…あなたの家庭を壊す気なんてないし、あなたとは友達だと思ってるし。」

「友達?友達にこんな酷い仕打ちが出来る?
あんたなんて、友達じゃないわ!
雅人とは今日限り、すっぱり別れて!」

「え……」

そんなの嫌だ。
私は雅人が好きで、雅人も私が好きで、家庭を壊す気もないのに、どうして…



「私、雅人が好きなの…」

「はぁ?何言ってんの?
頭おかしいんじゃないの?」

「雅人はあなたのもの、それもわかってる。
奪い取ったりしないわ、だから……」

「あんた、何の反省もしてないのね。
言われなくても、あんたに雅人は渡さないわ!絶対にね!」



晴美の体が私に密着して…
お腹の辺りに、何か熱いものを押し当てられたような酷い痛みを感じた。



「な、なに……」

晴美が離れると、お腹から生ぬるいものがどくどくと流れ出し、私の服を赤く染めて行った。



晴美はへなへなとその場に膝を着いて…
私も力が抜けて、同じように倒れ込んで…
どこかで甲高い悲鳴のようなものを聞いたのを最後に、私は意識を手放した。