他の誰かのあなた

「先に出て、まっすぐ帰っちゃだめだよ。
シャンプーの香りがしてたら変でしょ。」

「何から何まで考えてるのね。」

この人は何度もこんなことをして、そして学んだんだろうか?
そう思ったら、少し複雑な想いがした。



もしや、この人は私と同じ人種なのか、と…



「僕は少し飲んで帰るよ。」

「金曜は飲んで帰ることが多いものね。」

雅人は一瞬目を見開いて…



「君のそういうとこ、好きだよ。」

雅人は私をきつく抱きしめた。



「……じゃあね。」

「あ、携帯番号交換しなきゃ。」

「私はユキオかしら?」

「僕はマサコだね。」

お互い、顔を見合わせて笑った。
愉快だ。
雅人は頭も良く、面白い。
見た目じゃない部分に惹かれるのは珍しいことだ。



(雅人のこと…ますます好きになりそう。)



私は、目に付いたパチンコ店に入った。
もうもうと立ちこめるタバコの煙と騒がしい音に圧倒される。
ここならきっとシャンプーの香りも消える。
でも、私にはパチンコの遊び方さえわからない。
周りの様子を観察しながら、私は見様見真似でパチンコ玉を貸し出した。