他の誰かのあなた





「ご馳走様。とても美味しかったわ。」

雅人は私をじっとみつめていた。



「……まさか、このまま帰るんじゃないよね?」

「え?」

「今夜は僕を待っててくれたんだよね?
それは食事のため?」

彼の目の中に、私は燃えさかる何かを見た。
大丈夫だ。間違いない。



「あなたは、どうするつもりだったの?」

私が訊ねると、雅人は私の手を握り、歩き始めた。
それは目的を持った歩き方だった。



「雅人……雅人……」

呼びたかった彼の名を思いっきり呼んだ。
声を張り上げて…



やはり、彼とはこうなる運命だったんだ。
私はついに雅人を手に入れた。
会食のあの日からずっと欲しかった雅人…
いつもよりうんと我慢していたから、嬉しさも一入だった。



彼も激しく燃えていた。
もしかしたら、彼もずっと私のことを想っていたのではないだろうか?



身も心も満足し、心地好い疲労感を感じながら、二人でシャワーを浴びた。
何をしても様になる。
本当に素敵な男を手に入れたと胸が弾んだ。



「君が先に出て。」

「え?一緒に出ないの?」

言って直ぐに思い出した。
ラブホの前で布川に待ち伏せされた時のことを。



「君とは長く付き合いたいから。」

雅人の優しい心遣いに、思わず私は抱き着いてキスをした。



幸せだ…心底幸せだ……