他の誰かのあなた





「へぇ、それは素敵ね。」



次の日の夕方、私は、晴美に電話してみた。
雅人が昨日のことを晴美に話したかどうか、気になったからだ。



話した様子から、雅人は、意外にも昨日のことは話していないようだった。
そのことがわかったら、なんだかとても胸が熱くなった。



雅人は必ず私のものになる。
そういう自信が湧き上がってくるのを感じた。



普通なら、話すはずだもの。
話さないのは、雅人が私と同じ想いを胸に秘めているから。
そうに違いない。



「夕飯の支度の邪魔してごめん。じゃあ、またね。」

電話を切った後、浮かれすぎて鼻歌が飛び出た。



ついに、ついに、雅人が私のものになる。
まさに、踊り出したくなるような気分だ。



今から行けば、仕事帰りの雅人に会える。



(だめよ、焦ったら…)



急に鼻歌が途切れた。
今日は英会話の日ではない。
急な用事を作るのも不自然だ。



私は自分をなだめ、夕飯の支度に取り掛かることにした。



絶対に失敗はしてはいけないのだから、焦りは禁物だ。
そう自分に言い聞かせ、浮かれた気持ちをぐっと押さえた。