*
「美味しいわね。」
「僕のも美味しいよ。
ちょっと食べる?」
「じゃあ、一口ちょうだい。」
アーンと口を開けた晴美に、雅人がフォークで刺した肉片を食べさせる。
なんとも言えない不快感を懸命に押さえながら、私はなんでもない振りをして食事を続けた。
何か言った方が良かったか…
「まぁ、お熱いわね。」
とか、なんとか…
でも、そんなこと言いたくもなかった。
今に見ていろ。
雅人は必ず私のものにする。
料理の味なんて、少しもわからなかった。
丸いテーブルだったから、隣に雅人がいた。
手を伸ばせば、触れられる距離だ。
なのに、触れることは出来ない。
食事中も他愛ない会話は出来たけど、一番聞きたかったこと…『私のこと、覚えてますか?』は、なかなか聞けない。
悔しさに、私は思わず唇を噛み締めた。
「ごめんね。ちょっとお化粧室に行って来るね。」
食事が終わり、食後のコーヒーを待つ時に、晴美が立ち上がった。
その場には、私と雅人二人になった。
意味もなく作り笑いを浮かべた。
雅人も同じように微笑んでくれた。
「すみません。今日はお邪魔してしまって。」
「いえ。由希さんが来て下さって良かったです。」
「……会食の時、お会いしたんですよ。」
「覚えてますよ。」
雅人と私の視線が絡みあう。
「美味しいわね。」
「僕のも美味しいよ。
ちょっと食べる?」
「じゃあ、一口ちょうだい。」
アーンと口を開けた晴美に、雅人がフォークで刺した肉片を食べさせる。
なんとも言えない不快感を懸命に押さえながら、私はなんでもない振りをして食事を続けた。
何か言った方が良かったか…
「まぁ、お熱いわね。」
とか、なんとか…
でも、そんなこと言いたくもなかった。
今に見ていろ。
雅人は必ず私のものにする。
料理の味なんて、少しもわからなかった。
丸いテーブルだったから、隣に雅人がいた。
手を伸ばせば、触れられる距離だ。
なのに、触れることは出来ない。
食事中も他愛ない会話は出来たけど、一番聞きたかったこと…『私のこと、覚えてますか?』は、なかなか聞けない。
悔しさに、私は思わず唇を噛み締めた。
「ごめんね。ちょっとお化粧室に行って来るね。」
食事が終わり、食後のコーヒーを待つ時に、晴美が立ち上がった。
その場には、私と雅人二人になった。
意味もなく作り笑いを浮かべた。
雅人も同じように微笑んでくれた。
「すみません。今日はお邪魔してしまって。」
「いえ。由希さんが来て下さって良かったです。」
「……会食の時、お会いしたんですよ。」
「覚えてますよ。」
雅人と私の視線が絡みあう。



