他の誰かのあなた

「由希には普段から良くしてもらってるんだ。」

「そうなんだ。
由希さん、いつもありがとうございます。」

由希さんと呼ばれただけで、体がゾクゾクした。
素敵な男…絶対に私のものにする。
彼の視線は、私に関心を持っているものだ。
間違いない。きっとうまく行く。



それから、数日後…
彼を探し出し、彼と二人っきりで会う約束を取り付けた。



「お待たせ。」

指定したコーヒーショップに彼は現れた。
ここに一人で来たということは、私に関心があるということ。



コーヒーを飲みながら、他愛のない会話を交わして…
私たちは、ラブホに向かった。
今度もまたうまくいった。
そう思い、浮かれていると…



「知佳には絶対内緒だよ。」



達也の言葉が、信じられなかった。



「どういうこと?
知佳と別れて、私と付き合うんじゃないの?」

「なんで?僕は知佳と付き合ってるんだよ。」

「だって…そしたら、どうして…」

「そりゃあ、僕だって若い男だもん。
こんな誘いされたら、断れないよ。」

達也は悪びれもせず、そう答えた。