「忘れてください!!」 さっきまでの脱力加減が嘘みたいに、わたしは勢いよく立ち上がる。 全身が燃えるような恥ずかしさに襲われて、くるりと背を向けた。 「お邪魔しました……!」 公共の場である屋上に似合わない、そんなセリフを置いて。 重い扉を、思い切り開け放ち。 駆け上がってきたばかりの階段を、駆け下りる。 わたしは、全速力で逃げ出した。