きっと、他人のことをどうでもいいなんて思うような人じゃなくて。

わたしの傷ついた気持ちを利用しようなんて、考えるような人でも、ない。


「ねえ、三澄くん」

「なに?」

「描いてもらう前に、やっぱりちゃんと、聞いておきたいんだけど……」


知りもせずに意地悪だと決めつけて、……失礼だったよね。


あのとき、交換条件を出してまで、わたしに頼んだりするなんて。

三澄くんがそこまでした訳を、きちんと知りたい。

三澄くんがどんなひとかを、——なにを考えているのかを、知りたい。


「どうして、わたしを描こうと思ったの?」


まっすぐに見つめて、わたしは尋ねた。

けれど答えは、すぐには返ってこなかった。