タン、と音を立てて。 三澄くんが、塔屋からわたしのそばへと降りてくる。 「はい。どーぞ」 差し出された、紺色のハンカチ。 思わずじっと見つめると、 「……いらない?」 三澄くんの問いかけに、止まっていた思考が、ゆっくりと動き始める。 たった今、自分の顔が、涙で濡れていることを思い出した。 「……わ……」 「わ?」