「うん、また明日ね」
「おー」
ひらひら、と手を振られたのを確認してから、わたしは気を取り直して、北側の階段を目指す。
ふう、と深く息を吐き、体から力を抜いた。
ドクドクと、動悸がしていた。
——いつも通りに、できた、よね?
それに、ちゃんと笑えた。
また明日ね、って言えた。
……頑張った自分の心を、褒めてあげたいよ。
なにかに急かされるように、わたしは足をはやめた。
美術準備室への、道のり。
先週は逃げるように走ったこの道を、今日は前向きな気持ちで歩けていることに、なんだかとても嬉しくなった。