「……この間話した、頼まれごと、なの」
結局、わたしは正直に口を開いた。
「この間って……、三澄の?」
諦めて小さく頷くと、少し間を置いてから、ふーん、とだけ返ってくる。
その声色は、どこか訝しげだ。
うう……。
やっぱり、ヘンに思われるよね。
接点のなかった三澄くんから、突然、時間のかかる頼まれごとだなんて。
「だから……カラオケはさ、ふたりで行ってきなよ」
内容をはぐらかすように、ふにゃりと笑う。
わたしの提案に、綾人は小さく息をついて、
「……わかったよ。そうする」
そう言った。
自分で言っておきながら、綾人の返事に、わたしの胸はチクリと痛む。
もはや慣れてしまったと言ってもいいその感覚に、気づかないふりをした。


