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「練習の件って、なんのこと?」
先生と別れ、教室に向かう途中で、さやちんがジトリとした目を向けてきた。
「先週の、“ちょっとした頼まれごと”のこと?」
「……。そうです……」
今度は誤魔化しきれないと観念して、わたしはこくりと頷く。
さやちんは不満げに眉を寄せ、腕を前に組んだ。
「やっぱりね。絶対、なにか隠してると思った」
「ご、ごめんて、さやちん。……その内、話そうとは思ってたんだよ?」
疑いの目を向けられて、わたしは「ほんとだってば」と言い張った。
さやちんは、大切な親友だもん。
今までも綾人のことでたくさん相談に乗ってもらって、すごく感謝してるんだから。
ただ、なんだか成り行きでどんどん話が展開してしまっていたし、三澄くんとのことはあまり大声で話せる内容じゃないし……。
「話すタイミングを、見失っちゃってただけ」
わたしの言い訳に、さやちんはあまり納得がいかない様子のまま、ため息をついた。


