こころが揺れるの、とめられない



「ん?」

「三澄くんが悩んでた、って……」

「……ああ。ほら、それ」


先生は、職員室前の掲示板を指差した。

導かれるように横を見ると、目に入ったのは、高校生を中心とした絵画コンクールの受賞作品を掲載している、ポスター。

大きく、でかでかと載せられている大賞を受賞した作品の下に、優秀賞が三作品、並んでいる。

その内のひとつに、三澄くんの名前を見つけた。


独特の色づかいで描かれた繊細な風景画。
わたしの記憶とは少し違う、見覚えのある景色は、きっとこの学校のどこかを切り取ったもの。


……やっぱり、上手だな……。


感心したように眺めていると、


「悔しいことに、毎回、惜しいところで一歩及ばないって感じなんだよね」


先生のこぼした言葉がわたしの心に引っかかり、……廊下にしばらく漂っては、消えた。