「な、なんで見るの……!」
「呼ばれたから」
「〜〜っ、ちがうよっ」
濡れた目で抗議の視線を送るも、涼しげな表情にかわされてしまう。
グラウンドの方から、ピーーーッ、と笛の音が聞こえた。
それは風に運ばれて、わたしたちの間を、そよそよと通り過ぎる。
向けられている眼差しに困っていると、再び三澄くんの手が伸びてきて、わたしは思わず体を揺らした。
今度は布越しではなく、直接、髪に触れられる。
こそばゆい心地が、わたしを襲った。
「……隠さなくてもいいのに」
「……だって、……顔、汚い」
「そんなことない」
三澄くんがわたしを見つめて。
わたしも、三澄くんを見つめていた。