……もしかして……。


「お……脅し……?」

「上村さんが、頷いてくれないから」


仕方なく、と言いたげな三澄くんに、わたしは『場合によっては』の意味をようやく理解する。


想像とはちょっと違ったけれど……。

弱みを握られてしまうというわたしの嫌な予感は、大正解だったというわけだ。


「じゃ、……放課後。ここで待ってるから」


三澄くんは、そう冷たく言い残すと、ガチャリと鍵を開ける。

放心したままの、わたしをそのままに。
スタスタと美術準備室から出て行ってしまった。