耳の奥まで響いた三澄くんの声に、体が勝手に震えてしまう。
どくどくと脈打つ全身に、息苦しくてたまらなくなって——、
「む、無理です……!」
ダッ、と、床を蹴り。
三澄くんの横を通り過ぎて、出口に飛びついた。
涙ぐみながら、ガタガタと慌てて扉を開けようとするわたしの手に、……大きくて、少し骨ばった手が、そっと重なる。
「……上村さん。鍵」
——あ……。
完全に忘れてた。
ひとりでテンパっている状況に、一気に恥ずかしくなる。
わたしは落ち着きを取り戻そうと、コホンと咳払いをした。
「どうしてもだめ?」
覗き込むように聞かれ、
「だ、だって……突然、だし……」
目を泳がせる。
「そもそも、どうしてわたしなの? 三澄くんとは、話したこともほとんどないのに……」
俯きがちに質問を返すと、触れ合ったままの手に気づく。
急に頬に熱が集まって、わたしは、ぱっと扉から手を離した。


