「まあいいや。
それで、……上村さんに、頼みたいことがあるんだけど」
普段は、あまり表情を崩さないクールな印象だったから。
これは激レアなんじゃないかな。
もしも、今ここにクラスの女の子がいたとしたら、きっと喜ぶだろうな。
「練習に、付き合ってほしくて」
「練習……?」
「そ。……俺の、絵のモデルに、なってほしい」
「はあ……。モデルに……」
ぼうっと三澄くんを見つめたまま、受け取った言葉を、繰り返して。
「……へ? モデル?」
とんでもない単語が聞こえた気がして、わたしは瞬く間に、現実へと引き戻された。


