ぱっと目に入ってくるのは、棚の隅に並ぶ、胸像たち。
美術室のほうで数体見たことがあるけれど、どうやら、まだこちらに待機組がいたみたいだ。
その棚の上に、天井まで届くくらいに積み上げられた段ボール。
ガラス扉の中には、様々な種類の塗料が仕舞われていた。
……なんていうか、ごちゃごちゃしてる。
中央にある机が室内の半分を占領してしまっていて、ほとんど倉庫のような状態だ。
けれど、重ねて立てかけられいるイーゼルや、飾られている誰かの絵、彫刻……。
ところどころに見つかる、絵の具の汚れ。
それらによる、普段立ち入ることのないアトリエのような雰囲気に、なんだかワクワクもする。
目線だけで、室内をくるりと見回し終わったとき——。
ガチャリ。なんて、不穏な音が聞こえて、わたしは固まった。
「え、っと……?」
振り返ると、後ろ手に鍵を閉めた三澄くんと、目が合った。
謎めきすぎている行動に、視線だけで説明を求める。
こんな時だというのに、やっぱりきれいな目をしてるな、なんて感想を抱いてしまった。


